Research / 研究

人間形成・教育と自由の関係について、教育哲学・教育思想史の観点からアプローチしています。政治哲学や高等教育論も専門分野として勉強しています。研究領域は大まかに以下の四つです。

(1)フンボルト研究

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト(1767〜1835)の初期の政治理論を、代表的な著作『国家活動の限界』を中心に研究してきました。リベラリズムを基軸とした政治思想史・政治哲学の思潮を背景に、陶冶(Bildung)への志向を基底的な基準として国家活動の最小化を主張する『国家活動の限界』の政治的議論を、干渉と教育の限界を定めようとする議論として解釈することを試みています。
博士論文に続く研究として、『バスク民族(Die Vasken)』等の1800年以降のフンボルトの人間学(人類学)的な論考群を、『限界』の政治的議論との関連の下で解読しています。

(2)哲学的大学論

大学教育や高等教育の領域に対する哲学的な手法によるアプローチに取り組んでいます。この研究は、ロナルド・バーネット(R. Barnett)を立役者として近年英語圏を中心に盛り上がっている高等教育の哲学(philosophy of higher education)の研究動向を踏襲しています。ニューマン、カント、フンボルト、オルテガ、オークショット、リオタール等の著作に代表される古典的な哲学的大学論の再構成にも関心があります。最近は、大学や学者に課せられた使命や義務についての道徳的な説明を構築することを目指しています。

(3)リベラル・エデュケーション論

リベラル・エデュケーション(自由教育, 教養教育)の伝統の再構成に取り組んでいます。ニューマンに端を発する、知識の追求を従事するタイプの教育的伝統が、イギリスを中心とした現代教育哲学のなかでいかに継承され、発展していったのかに関心を持っています。目下、R. S. ピーターズやP. H. ハーストらの分析的教育哲学(analytic philosophy of education)のなかのリベラル・エデュケーションの位置付けを調べています。関連して、ウォーノックやヌスバウム、マッキンタイアの教育哲学なども勉強しています。

(4)教育の規範理論

英語圏を中心に取り組まれている、規範的な政治理論の手法を踏襲した教育哲学にも興味があります。公教育や道徳教育、シティズンシップ教育等について、規範的な哲学的議論の構築を試みたいと思っています。個人的な立場としては、フンボルトの『国家活動の限界』研究から得られた、リバタリアン的な観点から、公教育の限界や可能な正当化を追求する規範的な議論を構築したいです。

Works in Progress

※現在取り組んでいる研究課題の一部です。

(1)フンボルト研究

  1. Vom Bildungsprinzip zur Verfassungsmaxime: Zur Transposition der Nichteinmischung beim späten Humboldt

(2)哲学的大学論

  1. Revisiting the ideal of the “integration of research and education”: A philosophical analysis of the Humboldtian idea of the university
  2. 学問の自由とリベラル・デモクラシー

(3)リベラル・エデュケーション論

  1. P.H.ハーストの道徳教育論
  2. Paul Hirst on the Philosophy’s Role in the Justification of Curriculum: Liberal Education as its Organising Principle
  3. R. S. ピーターズとリベラル・エデュケーションの伝統

(4)教育の規範理論

1. Libertarians on the Limits of Compulsory Education: White-Gardner Debate Reconsidered